レンコン(ハス) ~穴のあいた、おもしろい野菜を知ろう~

天ぷら、きんぴら、煮物にしてもおいしいレンコン。穴のあいた、おもしろい野菜のひとつですが、レンコンとは、いったいどんな植物なのでしょうか。

目次

レンコン(ハス)とは、どんな植物なのか

ハスは水生植物

レンコンは漢字で「蓮根」と書きます。ハスの根という意味ですが、食べる部分は、本当はハスの「根」ではなく「茎(根茎と呼ばれる地下茎)」なのです。根のように見えて、実は地下茎という野菜は、レンコン以外にも、サトイモやジャガイモなどがあります。

和名
レンコン

英名
Lotus root

分類
スイレン科ハス属

代表的な生産地
茨城県、佐賀県、徳島県

 

レンコン(ハス)は、こんな植物
ハスは池に育つ水生植物で、その地下茎であるレンコンは池の底の泥の中で育ちます。水面から出ている葉を支えている「茎」のように見えるのは「茎」ではなく「葉柄」と呼ばれる部分。「葉柄」は地下茎の節から出ていますが、この節からは「葉柄」だけでなく、たくさんのヒゲのようなものが生えています。これがハスの「根」で、ここから養分や水分を吸収して、からだ全体に送ります。

 

葉のつき方
ハスの葉は地下茎の節の部分についていて、1つの節から1枚の葉が出ます。最初に出てくるのは「浮葉」と呼ばれる葉で、水面に浮きます。そして、浮葉が何枚か出ると次に水面よりも上に立ち上がる「立葉」と呼ばれる葉が出てきます。「立葉」は、大きいものは直径70~80センチ、高さ2メートルくらいにもなります。「浮葉」も「立葉」も出はじめの若いときには葉の部分が巻いているため、この時期の葉を「巻葉」ともいいます。

 

花の出るところ
立葉が出るようになってしばらくすると、主茎の節に花芽がついてきます。しかし、この花芽がぜんぶ花になって咲くわけではありません。花の咲きやすさは品種により違い、同じ品種でもたくさん咲く年と、あまり咲かない年があります。生育の途中で台風によって立葉が折れるなどの被害にあうと、そのあとはあまり花が咲きません。

 

 

豆知識

お堀のハスは、戦に備えての非常食

日本の城の堀や寺院の庭、公園の池などでハスが植えてあるのをよく見かけます。夏になるとたくさんの葉の中にきれいな花が咲き、心を和ませてくれます。

ところで、城の堀に植えてあるハスは、城ができてすぐ植えられたものではなく、年がたつにつれて土がたまり、堀の深さが浅くなったところに誰かが植えて広がったところが多いといわれています。

しかし、青森県の弘前城のように、城ができたときからハスが植えられている場合もあります。こうした城の堀のハスは、見て楽しむだけでなく、戦のときの非常食として利用することもできるように植えられていたといいます。

 

 

日本でのレンコン栽培の歴史

日本の在来のハスと日本への伝来
日本でのハスの歴史は古く、北海道から九州までハスの化石が発見されています。また、日本の最古の歴史書である『古事記』にも、ハスのことが書いてあります。そのため、古代から日本にはハスが自生もしくは栽培されていたと考えられています。

しかし、これらのハスのほとんどは、地下茎があまり肥大しない系統だったようです。その後、鎌倉時代の仏教の伝来とともに地下茎が肥大するハスが日本に導入され、各地の気候・風土にあった品種が食用ハスとして栽培化されるようになりました。これらの品種は「地バス」とか「在来種」などと呼ばれています。

明治初期になってからは経済栽培に向く品種が中国から新たに導入され(「中国種」と呼ばれている)、本格的なレンコン栽培が始まりました。

 

日本での本格的なレンコン栽培
明治時代に中国からの品種が導入され、本格的なレンコン栽培が始まったわけですが、特に明治末期~昭和初期、都市を中心に日本の経済が発達しはじめ、その都市へ新鮮な野菜を供給するための近郊野菜地帯ができあがりました。レンコンでも同じように都市近郊の産地がつくられました。代表的な古い産地は大阪、愛知、千葉、茨城、福岡などです。

第二次大戦後、都市の人口が急速に増えはじめるのと同時に都市地域も広がったため、都市に近いレンコン産地はしだいに減っていきました。そのかわり、鉄道やトラックなどの輸送機関が発達したことで、都市近郊の地域で大規模なレンコン栽培が行われるようになりました。

 

 

ハスの花 ~泥の中から美しい花を咲かせる、お釈迦さまの花~

 

 

レンコンの種類いろいろ
ハスには食用と観賞用(花ハス)があります。

食用ハスでは地面の中にできる「レンコン」の形や大きさが、細長くて角ばっているものや、太くて丸いものなどいろいろあります。また、食感も種類による違いがあり、やわらかくて粘り気があるもの、粘り気は少ないけれど肉厚でシャキシャキとした歯ざわりのものがあります。

現在、一般的に売られているレンコンは中国からの導入種ですが、中国種のレンコンの特徴は、シャキシャキ感があることです。対して日本の昔からある伝統種は、モチモチしていて糸を引くのが特徴です。伝統種としては金沢の「加賀レンコン」や新潟の「大口レンコン」があります。

色は白~クリームが一般的ですが、最近では、うすいピンク色をしたレンコンも開発されたそうです。

 

レンコンを栽培してみよう

レンコンが元気に生育するのは、温度が高く、日がよくあたるところ。育てている間はずっと水をためておかないといけないので、いつでも水を入れられる場所を選びます。

生育の適温は25~30℃で、レンコン肥大の適温は20~25℃、生育限界温度は15℃。北海道や東北北部では栽培するのが難しいですが、ビニールハウスを使えば栽培できます。

 

①レンコンのための田んぼを準備しよう
ハスは畑ではなく水を張った田んぼで育てます。1株を育てるためには畳1枚以上の広さが必要とされています。レンコンの地下茎は春に伸びはじめ、10節ぐらい伸びると地下茎が肥大してレンコンができます。長さはなんと10メートル以上にもなります。地下茎はたくさん枝分かれするので、イネのようにバケツで栽培するのは難しいのです。

 

②種レンコンを植えつけよう
種レンコン(肥大茎)は、レンコンを栽培している農家の人にお願いして分けてもらいます。お店で売っているレンコンは節切りされており、芽の部分が取り外されているものが多いからです。芽がないレンコンを植えても地下茎は伸びずに、そのまま枯れてしまいます。芽がついたままのレンコン、できれば3~4節ある傷などのない大きめのレンコン(小さなレンコンを植えると生育が遅いので)を分けてもらい、植えつけていきます。

 

植えつけのやり方
農家の人たちは、芽の方向をそろえて直線状に何列も植えつけます。株と株の間は、だいたい1~1.5メートル、列と列の間は2~3メートルあけて植えつけていきます。地面から10~15センチの深さに水平に植えつけていきますが、このとき、芽を傷つけないようにゆっくりと慎重に行います。

 

 

豆知識

タネからレンコンを育ててみよう

レンコンを育てるときは、種レンコン(肥大茎)から育てるのが一般的ですが、タネ(種子)から育てることもできます。種子はとてもかたいので、熟したタネを水に浸けておいても発芽しませんが、種子の一部をヤスリなどで傷つけ、それから一晩水に浸けておくと、種子がやわらかくなり、手でむけるようになります。

種レンコンから栽培するときと同じように、寒いと生育してくれないので、春になってから種子への傷つけ処理をして、田んぼの土の中に植えます。出てくる葉は種レンコンから栽培するときよりもずっと小さく、秋になるととても小さなレンコン(ミニレンコン)ができます。たくさんの種子をまいておくと、いろいろな大きさや形のミニレンコンができます。

 

 

③夏は観察の季節! 美しい葉や花を楽しもう
種レンコンを植えると、まず種レンコンの栄養分を使って地下茎が伸び、浮葉が出はじめます。浮葉が出てくると自分自身で光合成ができるようになりますが、立葉が3枚ぐらいになるまでは、種レンコンの栄養分を使って生長しています。

そのあとは浮葉や立葉が光合成してできた栄養分で生長していきます。巻葉が出ている場所の近くに地下茎の先端があるので、巻葉の向いている方向を見ると、その下の地下茎がどの方向に伸びていくかがわかります。

あとから出てくる立葉ほど高く大きくなりますが、秋になると今度は、低くて小さい立葉を出すようになる。これを「止葉(とめば)」といって、この止葉がついている節から地下茎の肥大が始まります。

 

花の観察

たくさんの種子が埋まっている果托

夏になると、レンコンの田んぼには花がたくさん咲きます。花托(ハスの花が散ったあとに残る部分)にはたくさんのめしべが埋まっていて、受粉するとめしべの基部(種子)がしだいに大きく太ってきます。

花が咲いてから約3週間ごろの、まだ褐色になり始める前の緑色の種子は、食べることができます。このころは皮(種皮)をむくのが簡単。手で緑色の種皮を取り除くと、中に白い胚(幼芽がおさまった子葉)があります。これを生で食べるとほんのり甘くておいしいのです。このころから花托のことを果托と呼びます。

果托にはたくさんの種子が埋まっていて、まるで蜂の巣のよう。その様子からこの植物は「ハチス」と呼ばれるようになり、その後「ハス」となりました。緑色の種子はしだいに黒くなっていき、成熟するころには、ものすごくかたくなります。

 

葉の観察
レンコンの葉は地下茎の「節」と呼ばれるくびれから出ています。つまり、水面から出ている葉の葉柄を下にたどっていくと、地下茎につながっているのです。葉の出る位置をたどると、地下茎がどのように伸びているかを予想することもできます。花が出るのも地下茎の「節」から。花は必ず葉とセットになって「節」についています。

 

 

豆知識

赤や黒の正体は

表面が赤褐色、あるいは黒色になったレンコンは、病気ではなくて、土の中の鉄分がレンコンの表面にくっついたものです。表面をゴシゴシこすると色がうすくなります。ではどうして色の違いがあるのでしょうか。

レンコンが元気に育っているときには呼吸に必要な酸素が地下茎に送られてきています。鉄は酸素と結びつくと酸化鉄になり、この酸化鉄の色が赤褐色というわけです。

逆に、台風などで葉が折れてしまったときには地下茎に酸素が行き届かなくなってしまいます。そのため、鉄が還元状態になって還元鉄ができ、この還元鉄の色が黒色というわけです。

色がついていると心配かもしれませんが、食べても問題なし。漂白剤を使っていない安全・安心の証拠ともいえます。

 

 

④いよいよ収穫! レンコンを堀ってみよう
夏の終わりから秋にかけて地下茎が肥大しはじめます。水をためたままの状態で、地下茎を傷つけないようにそっと土をよけながら伸びている地下茎を探ってみると、地下茎の先端に近い部分が肥大していることがわかります。葉が元気なうちは地下茎が肥大し続けているので、大きなレンコンを収穫するには、気温が下がって葉が枯れはじめるのを待ちます。もちろん、地下茎が肥大していれば、葉が枯れる前に掘っても大丈夫です。

 

レンコンの掘り方
掘る前に、まず葉を地面よりも少し上の部分から鎌で切ってしまいます。それからためている水を落とし、地面の上の水がなくなったら、少しずつ表面の土を取り除きます。するとだんだん地下茎が見えてきます。

地下茎をつたって掘り進み、その先端にあるレンコンを掘りあてます。葉が出ていたところの下には、必ず地下茎があるので、そこからたどると見つけやすいです。レンコンが見つかったら、傷つけたり折ったりしないように気をつけて、まわりの土を取り除き、静かに引き抜きます。

レンコン栽培でいちばん大変なのが、この収穫作業。慣れてくると刈り取った葉の出方で、地下茎がどの方向に進んでいるのかがわかるようになります。

 

翌年の種レンコンを残す
レンコンを収穫したら、そのうちのいくつかは翌年の種レンコンとして残しておきます。傷や病気がなく、形が整ってじゅうぶんに肥大しているレンコンを選ぶのがポイント。レンコンを掘り取った状態で外に出して保存しておくことはできないので、種レンコンを選んだら、田んぼの中に深さ10センチぐらいのところに埋め戻し、水をためて保存しておきます。少し多めに取っておくと安心です。

 

花からタネを取るには
このころになると果托と種子とのすき間がだんだん大きくなり始め、風が吹いたり花茎が折れたりしたときに、果托から種子が落ちるようになります。レンコンの種子を集めるときは、種子が成熟してからとる必要があるので、果托から落ちる直前の種子を集める(このとき田んぼの中に足を踏み入れると、地下茎を折ってしまうので、田んぼの中には入らないこと)か、もしくは水面に落ちた種子を集めるといいです。種子は水に浮き、風が吹くと田んぼの端のほうに寄ってくるので、集めるのは簡単です。

 

収穫の仕方
レンコンを収穫するやり方は、「鍬掘り」と「水掘り」の2つに大きく分けられます。

「鍬掘り」は、はじめにハス田の水を抜き、それからレンコンを傷つけないように慎重に気をつけながら専用の鍬を使って少しずつ掘っていく方法です。収穫のときに途中から折れたりすると商品価値(=値段)が下がるので、慎重さと我慢強さが要求されます。徳島県では、レンコン用に改良した小型のパワーショベルを使って収穫をしていますが、これは表面の土を取り除くために使っているだけ。掘りとり作業は専用の鍬(熊手)を使って行われています。

もうひとつの収穫方法「水掘り」では、鍬を使いません。用水路から機械で水をくみ上げ、その水を機械につながれたホースから勢いよく出してレンコンのまわりの土を吹き飛ばします。この方法だと「鍬掘り」よりも収穫がずいぶんと楽になります。しかし、毎年この「水掘り」を行うと、土が深くまでやわらかくなってしまうため、レンコンができる場所もどんどん深くなってしまうという難点もあります。

実は「鍬掘り」と「水掘り」のほかにもうひとつ「沈み掘り」と呼ばれる特別な方法があります。これは大阪府の門真で行われていた方法で、誰にでもできる方法ではありません。「池師」と呼ばれる名人がハス田に入り、足でレンコンの場所を探って確認し、それからハス田に潜って土の中のレンコンを引き抜くのです。この方法は「池師」の家で父から子へ、子から孫へと代々技術が引き継がれていましたが、今ではもう行われていないそうです。

お正月用のレンコンを収穫するのは12月の終わりのとても寒い時期。北風にさらされてとても寒い中、腰のあたりまで冷たい泥田につかりながら農家の人たちはレンコンを掘っています。レンコンを食べるときには、農家の人たちのそんな姿を思い浮かべながら食べたいものですね。

 

シャキシャキ、もっちり、レンコン料理を楽しもう

レンコンは美肌野菜

レンコンは美肌野菜ともいわれています。また、大きなハスの葉を使ってごはんや肉、魚などを包んで蒸すと、とても香りよくできあがります。

 

レンコンの栄養と機能性
レンコンには、デンプンなどの糖質がたくさん含まれていて、からだを動かすためのエネルギーになってくれます。

また、シミやソバカスの予防にもなるビタミンCが豊富。ビタミンCは抗酸化作用のほか、からだの中でコラーゲンが作られるときにも必要なビタミンです。ゆでる前のレンコンには、なんとレモン果汁と同じくらい(100グラム中に約50ミリグラム)のビタミンCが含まれています。ビタミンCはゆでると流出しやすい栄養ですが、レンコンのビタミンCは「デンプン」に守られているため、ゆでても栄養が壊れにくいのが特徴です。

このほかにもカリウム、リン、マンガンなどのミネラルや便秘解消に役立つ食物繊維もたくさん含んでいます。

またレンコンを切ったときに出てくる粘り気は「ムチン」という成分で、レンコンを切ったあとに切り口が褐色になるのはポリフェノールの一種「タンニン」が含まれているため。「ムチン」は粘膜を保護し、「タンニン」は緑茶にも含まれている成分で腸の働きを整えてくれるほか、皮膚を守り、白くする働きもあります。

中国では、肥大した地下茎はもちろん葉や花、おしべ、花托、種子などを、今でも漢方薬として使っています。

 

 

変色を防ぐなら、水につけて

レンコンは切り口が空気に触れると、黒っぽくなります。これは、「タンニン」という成分が酸素と化学反応を起こすためです。変色を防ぐには、切ったらすぐに水につけるのがコツ。酢水につけると、さらに白くなり、シャキシャキとした食感になります。

 

 

精進料理とレンコン
精進料理とは、仏教からきた料理のひとつで、肉や魚を使わずに野菜や豆、穀物を使ったベジタリアン料理です。

宗派による違いはありますが、仏教では僧侶による殺生が基本的に禁止されており、それを信仰する人たちも肉料理を食べることができません。そこで、野菜や豆、穀物のみを使った料理が作られるようになりました。レンコンも精進料理によく使われる食材のひとつです。

また、レンコンには穴があいていることから「見通しがいい」、「見通しが明るい」とか、芽が先へ先へと伸びることから「運が上向く」などといって、縁起物としても食べられています。九州の炭鉱地域では、「落盤事故にあわない」といって縁起をかついでいたそうです。縁起のよいレンコンは、おせち料理でもよく使われます。

 

辛子蓮根のはじめて
レンコンの穴に辛子味噌をつめこみ、衣で包んで油で揚げた熊本名物「辛子蓮根」。口の中に入れると辛子の成分がツーンと鼻を通り抜け、味噌と衣が絶妙な一種独特の味わいをかもしだします。この「辛子蓮根」はどうやってできたのでしょうか。

「辛子蓮根」ができたのは今から約400年も前のこと。細川忠興と玉(洗礼名「ガラシャ」。明智光秀の娘)の三男、細川忠利は江戸時代初期の大名で、豊前小倉藩の第二代藩主。その後、当時の肥後熊本藩主の加藤忠広が幕府によって城と領地を没収されたあと、細川忠利が肥後熊本藩の初代藩主になりました。

新しい領地である熊本には栄養価が高いことで知られるレンコンがたくさん栽培されていました。細川忠利は生まれながらに病弱だったので、玄宅和尚という禅僧が忠利のからだを気づかい、レンコンを食べさせようとしましたが、なかなか食べてくれません。そこで、レンコンの穴に和辛子粉を混ぜた麦味噌をつめ、麦粉・空豆粉・卵の黄身の衣をつけて菜種油で揚げた料理を献上したところ、忠利は喜んで食べてくれたそうです。

レンコンには造血効果などの健康増進作用が、辛子には食欲増進作用があり、しかもレンコンを輪切りにした断面が細川家の家紋である「九曜」に似ていたことから、明治維新まで門外不出の細川家の珍味栄養料理として、大切に食されてきました。

 

 

豆知識

レンコンの穴は空気を通すパイプの役目
肥大した地下茎にはいくつかの穴があいています。これは、空気(ガス)の通路。ハスの地下茎は地面のなかにありますが、この地下茎も呼吸をしなくてはなりません。そこで、葉から取り込んだ空気をこの穴を通して全身に送るのです。

 

レンコンの穴の数はほぼ決まっている!?
地下茎の穴の数は品種によって多少の違いはありますが、だいたい10個ほどです。まわりに9個と中心に1個、合計10個の大きな穴があいています。また、地下茎だけでなく葉柄や花茎にも通気のための穴があいていて、小さい穴を除けば、その数は葉柄では4個、花茎では7~8個。これらの通気孔はすべてつながっています。

 

 

象鼻杯でジュースを飲もう
葉柄にも穴があるという特徴を使った遊びのひとつに「象鼻杯(ぞうびはい)」というものがあります。「象鼻杯(ぞうびはい)」とは、ハスの葉を使ってお酒を飲む方法です。ハスの葉にお酒を入れ、葉の中心(ヘソみたいな部分)に小さな穴を開けると葉柄の切り口からお酒を飲むことができるのです。その姿が、象が鼻を上に向けている格好に似ているので「象鼻杯」といいます。子どもは、ジュースや水でやってみましょう。

 

まとめ

  • レンコンは漢字で「蓮根」と書くが、本当はハスの「根」ではなく「茎(根茎と呼ばれる地下茎)」のこと。
  • 日本の最古の歴史書『古事記』にもハスのことが書いてあるため、古代から日本にはハスが自生もしくは栽培されていたと考えられる。
  • 明治時代に中国からの品種が導入され、本格的なレンコン栽培が始まった。
  • ハスは畑ではなく水を張った田んぼで育てる。1株を育てるためには畳1枚以上の広さが必要とされている。
  • レンコン栽培でいちばん大変なのは収穫作業。腰のあたりまで冷たい泥田につかりながら農家の人たちはレンコンを掘っている。
  • レンコンには、細長くて角ばっているものや、太くて丸いものなどいろいろある。食感にも違いがあり、やわらかくて粘り気があるもの、粘り気は少ないけれど肉厚でシャキシャキとした歯ざわりのものがある。
  • レンコンの穴の数は、だいたい10個ほど。まわりに9個と中心に1個、合計10個の大きな穴があいている。
  • 穴のあいたレンコンは「見通しがいい」、「見通しが明るい」とか、芽が先へ先へと伸びることから「運が上向く」などといって、縁起物としても食べられている。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!