福禄寿 ~福禄寿は憧れの的!? 福禄寿について詳しく解説~

福禄寿とは、福(幸福)、禄(俸禄)、寿(長寿)の三徳を授ける招徳人望、俸禄増加の神とされています。手には枕と宝珠を持ち、いつも鶴を連れています。その姿は道教の理想であり、人々の憧れが投影されているといいます。

福禄寿とは

福禄寿とは、福(幸福)、禄(俸禄:むかし、武士が主君から受けた給料のこと)、寿(長寿)の三徳を授ける招徳人望、俸禄増加の神とされています。幸福、秩禄(給与)、慶祝、家内安全、よい配偶者を得ることを司っています。

福禄寿は、中国では人命を司るとされる南極星の化身、すなわち南極老人のことであるといわれています。あるいは、中国五山のひとつで、山東省にある泰山の神、泰山府君(延命長寿の神とされる)であるともされています。泰山府君の姿が南極老人の姿と一致していることから、泰山府君をもって福禄寿となすようになったと考えられるようです。

「福禄寿」という名前は、もともとは固有名詞ではなく、道教で理想とされる「福」と「禄」と「寿」つまり、「幸運と子孫に恵まれること。金銭に恵まれること。長生きすること。」を合わせたものなのです。

福禄寿の姿

宋代以降になると、寿星(南極老人星)は、また違った姿で描かれるようになります。それまでは、いわゆる寿老人のような姿で描かれていましたが、頭が異様に長く、豊かな白髭をたくわえた、背の低い老人の姿で描かれるようになりました。これが七福神中の福禄寿の姿で、したがって、寿老人と福禄寿は同一人物にほかならないのです。

しかし、わが国では、二様に描かれた同一人物を別人として、それぞれを七福神に加えました。

福禄寿は、手に枕と宝珠を持っており、「亀を愛し、鶴を懐く」老人といわれるように、いつも鶴を連れています。

枕には、よく睡眠をとるようにという安眠が表されています。安眠は長寿につながる大切な要素です。

宝珠

宝珠には、「福」という力が込められています。

鶴は縁起物の代表格。その端正な姿から、神秘的な鳥とも、吉祥の鳥とも考えられています。

福禄寿と寿老人と道教

福禄寿と寿老人は、どちらも「南極老人」とも呼ばれます。南極老人は、りゅうこつ座の一等星カノープスのこと。カノープスは、北半球に住む人々にとってほとんど見る機会がありません。中国の南部でも見るのは難しく、カノープスが見られるときは世の中が幸福になるという信仰が、古くから伝えられてきました。

また、福禄寿と寿老人は、どちらも長寿という福徳を備えています。長寿は、中国の民間信仰、いいかえれば道教において極めて重要なこととされています。

道教には健康と長寿を熱心に追い求める思想があり、道教の経典には、長寿をまっとうするための薬の作り方や、呼吸法をはじめとする健康法がいろいろと書かれています。それらのことを実践して、実際に長寿を得た人を「神仙」あるいは「仙人」といいます。

福禄寿も寿老人も、こうした仙人の姿で描かれており、中国の人々の憧れである健康と長寿の理想像が、そこに投影されているといえます。

 

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神社・寺院

福禄寿が安置されている主な神社・寺院をご紹介します。

東覚寺(とうがくじ/東京)

谷中七福神のひとつ。

御霊神社(ごりょうじんじゃ/神奈川県)

鎌倉・江の島七福神のひとつ。
御霊神社は、9月に行われる奇祭「面掛行列」が有名。その十面の内の一面が福禄寿で、宝蔵庫に祀られている。

赤山禅院(せきざんぜんいん/京都)

都七福神のひとつ。

長久寺(ちょうきゅうじ/大阪)

大阪七福神のひとつ。

長林寺(ちょうりんじ/兵庫)

淡路島七福神のひとつ。
境内には、淡路島特産のいぶし瓦でできた福禄寿の像がある。

まとめ

福禄寿とは、「福」「禄」「寿」の三徳を授ける神。

手には、枕と宝珠を持ち、いつも鶴を連れている。

道教の理想とする姿が、そこに投影されていると考えられる。

 

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