初夢とはいつ見る夢のこと? 吉夢を見るには何をする?

昔から人々は初夢が吉夢であるためにさまざまなことを行ってきました。ではいったいどんなことをしていたのでしょうか。
この記事では、吉夢を見るための方法について詳しく説明しています。

初夢とは

初夢とは新年に見る夢のこと。この初夢の内容によって、その年の吉凶を占う風習があります。

そもそも、初夢とはいつ見る夢のことをいうのでしょうか。「大晦日の夜」「元旦の夜」「正月二日の夜」という3つの説があるようですが、今では「正月二日の夜」ということでまとまっているようです。

しかし、これは東京の話。京都では昔から、「節分の夜」に見る夢のことをいいました。節分とは本来、季節の分かれ目の意味。かつては、正月とともに、新年の初めととらえられていました。

いずれにせよ、旧年の罪や穢れを祓い去って、新しい年、新しい春を迎えようという気持ちが、初夢占いの風習につながっていると思われます。

 

豆知識

夢は毎日見ているのか?

一般的に、大人は一晩に5~30分続く夢を4~6回見るとされ、10歳以下の子どもは、大人より夢を見る回数が少ないといいます。

眠りには、深い眠り(ノンレム睡眠)と浅い眠り(レム睡眠)があり、交互に繰り返すことで脳も休息をとっています。

レム睡眠のときは、体は深く眠っていますが、脳が覚醒時(起きているとき)に近い状態で活動しています。夢の大部分は、このレム睡眠のときに見ているとされています。レム睡眠時には、左脳がリラックスして右脳が主導となっているため、「空想的」な夢を見ているといいます。

一方、ノンレム睡眠のときは、脳が休養をしている状態です。左脳が主導となっているため、理屈っぽい「思考的」な夢を見ているといいます。

 

一富士二鷹三茄子

初夢に見ると縁起が良いものとしておなじみなのは、「一富士二鷹三茄子」。
これは、天下統一を果たした大将軍、徳川家康の「富士山を見て、鷹狩りをして、茄子を食べるのが幸せ」という言葉にあやかろうとした説がよく知られています。

ほかにも、「無事に(富士)、高く(鷹)、事を成す(茄子)」という縁起の良い言葉の語呂合わせという説もあります。

富士山は立身出世の象徴、鷹は開運、茄子は「事を成す」に通じることから財産を成す。

この3つを代表として、山のような末広がりのものや、鷹や鳥のように大空を舞うもの、野菜や果実の夢が吉夢とされました。

宝船の絵

「宝船」と称されるものは枕の下に敷く絵のことで、江戸時代には、正月二日の晩にこれを敷いて寝ると縁起の良い夢を見ることができると信じられていました。また、悪夢を見たときには、この絵を川に流したり、土に埋めたりすることで災難を除いたといいます。

これらのことから、「宝船」とは一般的に、初夢に吉夢を見るための、また、もし悪夢だったならそれを流し去るための「まじない道具」ともいえます。

さて、この「宝船」ですが、今では宝物がどっさり積まれていたり、七福神が乗っていたりと、かなり豪華なデザインとなっていますが、最も初期の作は、船に稲を積んだだけのシンプルなものでした。

その後、船は帆掛けの船となり、船中に積まれるものも、米俵、千両箱、打出の小槌、蓑や笠、そして七福神そのものと、だんだんにぎやかになっていきました。

一般に、京都の「宝船」はシンプルなものが多く、江戸の「宝船」は七福神が乗り込んだものが多いといわれています。また、京都では主に社寺で売られますが、江戸では「お宝売り」が「おたから おたから」と声を張り上げながら売り歩き、江戸の正月風景のひとつといえるほどの様子だったといいます。

 

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7つの宝物
宝船に積み込まれる宝物は「七宝」として、米、珠、金銀、鍵、隠笠、隠蓑、小槌とされています。


米は、我が国において最も貴重なもの。宝はタカラ、すなわち「田柄」で、米のことをいうとする解釈もここから生まれたようです。


珠は、古来わが国にも「十種神宝(とこくさのかんだから)」中の、生玉(いくたま)、死反玉(まかるかえしのたま)、足玉(たるたま)、道反玉(ちがえしのたま)という4つの玉や、海幸彦、山幸彦で有名な潮満珠(しおみつたま)、潮干珠(しおひるたま)などがありますが、おそらく宝船に積まれた「珠」は、仏事に記される「如意宝珠(にょいほうじゅ)」のことと思われます。

如意宝珠は、人間界における一切の願望を「意の如(いのまま)」に満たすといわれる宝物で、これを信仰すれば万事吉祥を招くといわれています。

金銀
金銀は、文字通りの財宝のこと。


鍵は、単に「宝の詰まった蔵を開ける道具」ではなく、多くの仏像の持ち物となっている「無量の財福を与えるもの」の象徴としての「鍵」だと思われます。

隠笠と隠蓑
隠笠と隠蓑は、「姿を隠して災いを免れる」という意味があるようです。

小槌
小槌は、「打出の小槌」だと思われます。振り動かすだけで思いのままに財宝を打ち出すところからか、如意宝珠を思わせる「珠」の紋を付けた小槌もあるようです。

「宝船」と同じような効果を得るものとして、「獏」というものがあります。

獏は中国の想像上の動物で、鼻は象で目はサイ、尾は牛で足は虎、体形は熊に似ているという奇妙な姿をしていますが、人の悪夢を食べ、その皮を敷いて寝れば疫病を避け、その姿を絵にすれば邪気を寄せ付けないという、たいへんなご利益の持ち主なのです。初夢で悪い夢を見たときに唱える「きのうの夢は南天の下の獏に食べさせよ」という呪文もあるようです。

人々は、「宝船」と同じように、この獏の絵や「獏」という文字を書いた紙を枕の下に敷いて寝ることで、吉夢を得ようとしました。

また、「宝船」にも、帆に「獏」の字を書き込んだものや、獏の絵を帆に描いたもの、七福神と共に同船しているもの、船首像に据えたものなどもあったようです。

吉夢のための回文

回文とは、上から読んでも下から読んでも同じ文句になる文のことをいいます。

明治後期から昭和初期の「宝船」には、回文が書き込まれているものが多く見られます。

回文の内容は、「なかきよのとをのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな(長き世の遠の眠りの皆目覚め波乗り舟の音の良きかな)」。聖徳太子の作った呪歌だという話も伝わっていますが、これは単に箔を付けるためのでたらめだといわれています。

いずれにしろ、意味はよく分かりませんが、この回文を3回読んでから眠ると良い夢が見られ、幸運を得るとされました。

まとめ

初夢とは、「正月二日の夜」に見る夢のこと。

吉夢を見るには、「宝船」を描いた絵や「獏」という文字を書いた紙を枕の下に敷いて寝る。回文を3回唱えれば、なお良し。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!