エイプリルフールはウソから始まった⁉ ~エイプリルフールの意味や由来とは~

エイプリルフールはウソをついてもよい日として知られていますが、なぜそのような日ができたのでしょうか。

 

エイプリルフールとは

エイプリルフール

エイプリルフールとは

エイプリルフール(April Fool)は、直訳すれば「4月にだまされたバカ者」ということになります。だまされた者がバカにされているわけですが、それでも文句を言えないのは、この日の午前中に限っては、ウソをついても人をからかってもジョークとして許されるとされているからです。

エイプリルフールの習慣は世界中に広まり、今でもこの日になると、罪のないウソをつく遊びが行われています。しかし、エイプリルフール自体は誰でもが知っていますが、その起源についてはあまり知られていないようです。

 

エイプリルフールの始まり

エイプリルフールの始まりについては諸説あり、まるでエイプリルフールのジョークのように、どれが本当でどれがウソなのか、はっきりしていないようです。そんな中で、エイプリルフールの起源としてよく紹介されるのが、フランスのシャルル9世の治世下に起こったとされる逸話です。

当時のフランスでは、新年の始まりは春分の日の3月25日で、この日から1週間後の4月1日までを新年として祝っていました。ところが、1564年、国王シャルル9世は、1月1日を新年とするグレゴリオ暦を採用すると宣言。これに反発したフランス国民は、4月1日を「ウソの新年」として、ふざけ合い、大騒ぎをしたのです。ついには、これに憤慨した国王が、ウソの新年を祝って騒動を起こした人々を処刑してしまうという事件まで起きてしまいました。国民は、この事件にショックを受けましたが、抗議の意味を込めて、その後も毎年4月1日に「ウソの新年」を祝うようになったといいます。これが、エイプリルフールの始まりとされています。

しかし、この話はいかにも真実味のあるエピソードではありますが、歴史的事実と異なる点もあり、信ぴょう性にかけています。

まず、1月1日を新年とするグレゴリオ暦は1582年2月に発布され、その後ヨーロッパに徐々に導入されていきます。フランスでは1582年12月20日に採用されたので、上記の1564年ではありません。

次に、新暦採用の1582年には、シャルル9世はすでに亡くなっているため、グレゴリオ暦に切り替わったのは弟のアンリ3世の治世下ということになります。つまり、シャルル9世の暦導入をめぐって国民が反発する、という話の前提がなくなってしまうので、エイプリルフールの始まりがシャルル9世をきっかけにしているとは考えにくいのです。

 

 

豆知識

シャルル9世

シャルル9世(1550年6月27日-1574年5月30日)は、ヴァロア朝第12代フランス王(在位1561年-1574年)。父はアンリ2世、母はカトリーヌ・ド・メディシスで、フランソワ2世の弟、アンリ3世の兄。ユグノー戦争(1562年、フランスで始まった宗教戦争)が始まったときの国王。

 

 

エイプリルフールの起源については、ほかにもインド仏教に由来するもの、古代神話にもとづくものなどがありますが、ウソをつく=無駄なことをする(させる)という意味合いから生じたものと考えられています。

 

イエス・キリストの処刑日の出来事

十字架刑を受けるイエス・キリスト

十字架刑を受けるイエス・キリスト

イエスが処刑される直前にローマの役人の間をたらい回しにされたという茶番劇が、エイプリルフールの始まりとする説があります。

弟子ユダの裏切りで捕らえられたイエスは、取り調べのため大祭司アンナスのもとへ連れていかれます。続いて大祭司カバヤ(カヤファ)のもとへ、それからローマ総督ピラトのもとへ、さらにはヘロデ王のもとへ、そして再びピラトのもとへと、たらい回しにされます。ピラトは、イエスに何の罪もないことを知りながら、ユダヤ民衆の暴動を恐れ、イエスを十字架につけるよう命じます。こうして、イエスは罪人として十字架刑を受けることになったのです。

イエスは宗教指導者と政治的権力者の間をたらい回しにされたあげく、真実よりも権力者たちの保身や都合が優先され、民衆の無知な付和雷同も加わり、不当な十字架刑がくだされたのです。

このような、結論は始めから出ていながらも人に「無駄足を踏ませる」という行為は、真実とは逆のウソの世界だという意味から、イエスのたらい回しの史実が、エイプリルフールの起源説と結び付いたようです。

 

修行が無駄になる日

インドの修行者たちは、春分の日から1週間、悟りを開くための過酷な修行を行います。しかし、4月1日に修行を終えて現世に戻ってくると、せっかくの悟りを得た境地から、迷いの多い普段の状態に戻ってしまう者もいます。このつらい修行を無駄にしてしまうことを揶揄するという意味で、修行の期間が明けた日のことを「揶揄節」と呼びます。

4月1日に人に無駄なことをさせ、それをからかったことから、エイプリルフールの起源になったという説です。

 

ノアの方舟の日説

ノアの方舟

ノアの方舟

キリスト教の旧約聖書で、ノアの方舟にちなむ説です。

ノアは航海中の方舟から鳩を放って陸を探そうとしましたが、4月1日に鳩は何も見つけられず戻ってきました。そのことから、4月1日を「無駄に過ごす日」、「ウソをついてもよい日」となったとされています。

その後、ノアが再び鳩を飛ばしたところ、今度は鳩がオリーブの枝をくわえて戻ってきたため、近くに陸があることが分かり、上陸地を見つけることができたといいます。

 

西洋から日本へ

エイプリルフールの風習は、大正時代(江戸時代とも、明治時代とも)に日本へ伝わったとされています。

日本では「不義理の日」と呼ばれていました。不義理とは、人との付き合いを怠っていること。この日は手紙を書いて、普段の不義理をわびたそうです。

エイプリルフールの風習により、かつては新聞にウソ記事が載せられたこともありましたが、日本では「人騒がせだ」ということで、あまりはやらなかったようです。近年においては、この日の存在はますます目立たなくなってきているようです。世の中に、あまりにもウソが多くなってきたからなのかもしれません。

 

まとめ

エイプリルフール

この日は、悪意のないウソならついてもよいという風習。ただし、午前中までというタイムリミットつき。

この日の起源については諸説あるが、フランスのグレゴリオ暦採用によるというものが有力。

日本へは、大正時代に伝わった。しかし、「人騒がせだ」ということで、あまりはやらなかった。

 

 

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